その空気漏れはパンクじゃなくて虫ゴムの劣化かもしれないよ【自転車のタイヤ】
九州南部が梅雨明けしたとの発表だが何をチンタラしているのか。だってわたしの夏はもうとっくに始まっちゃってるんだからね!…まったく。
参考ページネギ油を作った殻は揚げネギとして美味しく頂く【わたしの夏到来】
さて。
そんな夏のある日、朝から雲の立ちこめる蒸し暑い休日に、4歳の末っ子が自転車デビューすることになった。
この時のために長男が幼少のころ使っていた古い自転車を実家の倉庫から取り寄せ、補助輪を付け、タイヤの空気を入れ、ネジの緩みなどをチェックして準備しておいたのだが、それから数日経った今どういうわけかタイヤが少しだけ柔らかい。パンクならもっとペシャンコになるはずで、なんだか妙な空気の抜け方だ。
そこで昔、父と「虫ピン」なるパーツを交換したことを思い出したのである。
父の仕事とは虫ピンを変えることである




これが空気の逆流を防ぐためのパーツ「虫ピン(バルブコア)」だ。ポンプからの空気は虫ピンを覆っている緑のゴム(虫ゴム)を内側から圧出してタイヤに充填されるので、逆に抜けてしまうことは無い。
参考サイト様自転車タイヤの空気が少しずつ抜ける原因は虫ゴムの劣化と修理方法など – ESCAPE Airと自転車ライフ
さて、件の虫ピンだが見ての通りゴム部分が完全に劣化してしまっており、その亀裂から徐々に空気が漏れてしまったのだろう。このあと末っ子くんが安心して乗れるようちゃんと交換してやらなくては。
父とわたしと虫ピンと
近所の自転車屋さんに問い合わせると、パッケージングされた商品ではなくバラの状態でいいなら販売してくれるとのこと。もちろんOKなのでテクテク歩いて出かけてきた。

わたしが幼少期に乗っていた自転車は宇宙のガラで、土星や木星や大きな星などがファンシーにあしらわれていたものだった。驚いたことについ数年前まで父の手によって実家に保管されていたのだが、その実家が水害に見舞われたタイミングで「捨てる」という判断をわたし自身がしてしまったのは失敗だったかもしれない、と今となっては思う。
強く気高い男であった父の理想と真逆の方向に育っていったわたしは、父の期待外れなことをしてしょっちゅう怒られた。そしてそんな父のことをもちろんわたしは畏怖していた。最近タイヤの空気を入れてもすぐに抜けてしまうということはわかっていたのに、父にすぐ報告できなかったのは取りも直さずそんな関係のせいだった。
まず、なんで早く言わないんだと怒られ、いやパンクじゃないなこれは虫ピンの問題だそういうのは自分でわかるようにするんだよと怒られ、連れていかれた自転車店ではハニカミ屋のわたしがお店の人と上手に話せなくて怒られ、といった具合。厚紙の台紙に虫ピンが2つ、ちょうど今の商品でいうリップクリームのように薄い透明プラで留められ店先にぶら下がっていた様子を今でも思い出す。
購入した新しい虫ピンに交換したのは父だったか、父に教わりながらわたしがしたのか。それは忘れてしまったが、数年後に同じような空気漏れが起きた時は間違いなく一人でこっそり交換した。父に話して怒られるのが嫌だったから、という臆病な真実は抜きにしても、それが一人きりで出来たということは今でも誇らしい記憶として残っている。



心配ならコップに水でもくんでバルブを漬けてみるといい。少しでも空気漏れがあれば泡が出るので、その時は虫ピンを差し込む塩梅やプランジャーナットの締め具合などを調節してみよう。
修理の終わった自転車に颯爽とまたがった末っ子は妻と一緒に公園へ出発し、わたしはと言えば修理中に舞い込んだ所用をこなすため家に残った。用事を済ませながら、次にこういう作業をする時は必ず子どもと一緒にやろうと思った。例え面倒くさがられても。
長らく苦手だった父と仲良くなったのは30歳を過ぎてからだったろうか。
時が流れる中で自然に父の気持ちがわかるようになってからはむしろ尊敬するようになり、数年前に他界したが、その頃には父もわたしのことを一人の人間として認めてくれていたように思う。おかげさまで子どもの自転車を直すことができました。ありがとう。